晴天のブレーメンと筆者の生態
ブレーメン、それ自体が独立した州としても位置付けられている都市。言わずもがな我らが祖国ジパングでも、『ブレーメンの音楽隊(Bremer Stadtmusikanten)』の名を前に、その存在を認知せざるはなしと、言い放ってさえ過言ではないでしょう。
車のナンバープレートにはハンザ都市ブレーメン(Hansastadt Bremen)の頭を取って、HBと印打たれています。
それはそうと、都市とはいえ、ブレーメンはそう大きくはありません。フランクフルトなどと比べて仕舞えば、それこそ田舎と言えましょう。決して観光するに困らない街ではないかもしれません。『ブレーメンは、日本で言うなれば静岡』とはドイツ語の先生の発言。喧騒から一線を画した北ドイツの穏やかな港町、というが一月半経た筆者の所感。
これでは、さぞ田舎でつまらないのだろうと感ぜられることもあろうかと思います故、ここで筆者のブレーメンに対する感情を、漢字二文字で書き記しておきましょう。
『最高 』
何が最高なのかと言いますと、筆者が来た日(2018年2月28日)から3月の終わりまで、これでもかという寒さに襲われ、凍えながら日々街を闊歩するに心も折れかけていた折、4月の初めになって2、3度、まとまった暖かい数日間が訪れました。それからというもの、ようやくできた趣味、散歩とカフェ巡りと外でボーッとすることを、好きなだけ出来ているからに他なりません。
『北ドイツの気候は基本的に曇りで、あまり良いとは言えない。』とはブレーメンに30年(であったか)住んでいるらしい日本人女性の談。
また、もう1つこれも彼女の談なのですが、『あまり良い天気に恵まれないからこそ、ドイツ人はせっかくの好天を存分に楽しもうとする。』らしい(北?)ドイツ人の心意気、筆者はとても好きです。
晴れれば川辺に出て太陽を浴びる人、友人と集い遊びに興じる人、家族でピクニックをする人、自転車を駆る人、上体に一糸纏わずジョギングをする人。見渡すだけでもそれぞれの楽しみ方というものが見えてきます。
ここで日本人サンプル、筆者の生態を見てみましょう。
筆者と言えば、1人で近隣の公園(Bürgerpark )でボーっとしたり、
ブレーメンが誇る大河川ヴェーザー(Weser)の都市沿いでボーっとしたり、
名前を間違えて書かれたピーチグリーンティーレモネード片手に港みたようでボーっとしたり、
ローランド像の見下ろす広場(Marktplatz)でボーっとしたり、噴水前に座ってケバブを貪り喰らい、市場を見て、
講義のない時間やお昼の休憩どきに大学裏の散歩道を歩いたり、
写真を撮ったり、
ドイツ人の友人たちと大学横の川沿い(ここも同じくWeser川)でビールを流し込み、お酒を交えたゲームに興じたり、
ときどきハンブルクまで出かけて、やっぱり湖畔や川辺でボーっとしたり、
少し疲れたらカフェで涼みコーヒーと林檎のケーキを食したり、
林檎のケーキを食したり、
林檎のケーキを食したり、
林檎のケーキを食したり、
たまにちょっと贅沢なカフェでチーズクリームケーキ(Käse Sahne Torte)を食したり、
時にはアイスカフェの野外テーブルで、ミルクシェイクを飲んだりしています。
あとはバーベキューなんかもしています。
21時ごろでもまだ明るいくらいなので、つい時間を忘れてしまいます。
このような隠居じみた生活を送る筆者ではありますが、もちろん講義にはちゃんと出ておりますし、そればかりか講義もないのに大学へ行く事さえあります。日本にいた頃には考えも及ばなかった領域に達しましたことを報告します。
それはそうと、少し前からサマータイムへと移行し、無残にも1時間が奪い取られたわけですが、それでもまだ21時ごろまで明るいといった様子のブレーメン。9時に日の目を見たと思いきや15時には暗闇へと回帰する冬の北欧とは全くの逆といったところ。
日の長い間は、その長さを存分に贅沢に使って楽しみ、
日の短い間は、その短きを精一杯満喫し、その夜長をして楽しむ。
四季を持つ日本、雨季と乾季を持つカンボジア、夏冬で日照時間の大きく変わるドイツ、それぞれの環境で柔軟に楽しんで暮らしていけたら、あるいは筆者にとって最も幸せなのだろうと、今の時点では思います。
もちろんここで言いたいのは、日本人の優位性を主張したりヨーロッパ至上主義を掲げたりしてどれが最も良いか比較するなんて陳腐が形を持ったようなことではありません。もっとも、何か高尚なことでも言えたら良いのですが、あいにく筆者には荷が重いというもの。そんな任を背負わせるのは酷というものなので、今回はこのくらいで。
日が短いという事は、日が昇るのも遅い、つまり日の出を見るにわざわざ重い瞼を、鶏も鳴かぬうちから開かなくても良いという事なので、それはそれで助かるような、そうでもないような、、、。