スメタナの国
事の順が前後するはあまり本意ではないけれど、今回はあれやこれやと自らに言い訳しいしい書きかけのドラフトを一旦寝かせて、この記事に手を掛けるとしようと、思い立った。藪から棒に唐突に、ラブストーリーは突然か、何事かとぞ思うも必定ではありますが、どうかお気になさらぬよう。なに、起こった出来事の順を前後せざるを得ない状況になってしまっただけのこと。
さて、少ない読者への敬意と感謝と思いやりを欠いた冒頭はさておき、今回筆者はその生涯で9カ国目となる、チェコ、その首都プラハの渡航録をば書かんとしている模様。温かく見守ってやるが情というものであろう。良い。許す。書け。
まずは、筆者の滞在したホテルの通り。発展途上が微かに香る雰囲気。
こういったトコロなんかは、およそ我々の想像する、夢に描く雅華やか煌びやかな、いわゆるヨーロッパには、おそらくはないでしょう。まあ、こんなものは都市の、それこそ重箱の隅のようなもので、これがプラハだと言ってのけるは虚構甚だしいのでそんなことはもちろん言いません。ただ筆者がこういう場所に一抹の心惹かれるを感じるというだけ。
出来の良い写真ではないけれど、それ今回ばかりは目を瞑り、プラハの未だ発展途上にあるを、塩の一粒ほどでも感じてもらえればと。プラハ中央駅から、およそ5分の場所。
青になったかと思えば、ものの2秒でたちまち赤へと戻る恥ずかしがり屋の信号が多いこと多いこと。
チェコ語の書いてあるは、それは筆者にとって目新しい言語、チェコなのだから当然なのだけど、一語たりとても理解できない様は、もはやおもしろおかしささえ感じる。
有名らしい建物。ミュシャの絵でしょうか。
チョコレート博物館の入り口前の展示。歴史を感じさせるようではありますが、もはや嘘なのではと疑いを持つほどに古きを描いてありますが、そんなくだらない嘘をつくメリットなどはないでしょうから、もちろん何かしらの根拠に基づいた史実なのでしょう。
雨の予報に恐怖しいしい歩を進めると、慎ましい筆者の様子に空も機嫌が良くなってきた模様。
ありがちな人型の柱デザイン。文字通り人柱といったところで。でも筆者、こんなものに心惹かれるタチである事は否定の余地もありません。
ガラス張りのエレベータに押し込められる恥をしのぶはいささか忍びないというもので、老体に鞭打ちしいしい螺旋の坂を這いずり登る。
工事中の天文時計台に落胆しいしい展望台に登る、も、景色はそれはそれは素晴らしいもので、いかにもヨーロッパらしい街並みの向こうに見えるは発展の最中にいるを窺わせるビルヂングと重機。
有名なティーン教会。80mの高さを誇る尖塔を持つゴシック式の建物。四方を建物に囲まれていて入りにくく撮りにくいのはミスや嫌がらせではなく仕様。防御策であったかな。
塔の四方の一面を飾るはその大きさ世界一と称せらるプラハ城。丘の上に建つその雄大な姿は、我々を圧巻してやまない。
もう一方は山であろうか丘であろうか、入り乱れる赤屋根を一望できる。
見下ろすと広場。宗教改革でその名を轟かせたヤン・フスの像を囲むみたように犇めくは、イースター休暇に沸く人の群れと屋台のテント。
塔のガラス張り羞恥エレベータを下から見上げる構図。
降りた先にある小さな部屋で筆者の目を奪ったは、控えめでいて壮観な天井画壁画。
写真の彼らがこの数秒ののちに唇を重ね合わせたはまた別のお話。
上空から不躾にも見下ろす形となってしまったヤン・フスを、此度は下から拝む。
目を凝らしてみると、鳩の頭上に鎮座するが見えよう、なんとふてぶてしく自由なことか。人ならざるものの特権と言えようか。人々の縋りつくこの宗教家の頭の白化は、先導者故の、火刑故の心労などではなく、灰色の謀略故かと納得させるに足る瞬間なのであった。
建物の闖入するを恨めしくも思う。が、その美しきを隠さざるを得ぬ時代の趨勢というものに想いを馳せてみる筆者なのであった。
近頃話題のグルテンフリーを売りにする屋台。日本語訳を修正した結果の正確さはともかく、その矢印ではさながら、どこぞの 通販サイト『密林』のようではないか。人々をその豊富な生態系(商品)とその色香で誘惑魅惑し迷い込ませる側面だけ切り取って見れば、アマゾンという名は、いかにも言い得て妙、まさにおあつらえむき、というものではないだろうか。
心労の宗教者に刃を向ける時代の姿を主観的に表現した構図。
刃の正体は串にジャガイモを挿した状態でチップスにしたもの。分厚く食べ応えがある、頼れる妖刀。
カメラを構える、何処の馬の骨とも知れぬ平たい顔に撮られてなるものかと反骨精神を露わにする馬。そう、粗相である。
広場の賑わいもそこそこに、誰もが知る名曲を彷彿とさせる場所、モルダウ川へ足を進める。
街とプラハの城下とを結ぶ橋カレル。
橋の手前からも溢れる人の群れ。
ここで楽団の奏でるはかのスメタナの曲であろうと予想していた筆者は、図らずも騙される形となってしまった。
かの曲を聴きつ歩きつ眺めたい、誰もがそう思わされる事でしょう。
城下の番犬による検問。
プラハ城の城壁からの眺め。
カインとアベルであろうか、2つの殺人。
城への中継地点。
広場の狭さと混雑故ファインダーに収める事能わず。
人の数の多いこと多いこと。
ステンドグラス、聖書の内容をある程度でも把握していればより楽しめるのかもしれないと思いつつ眺め、そのうちに忘れる。
青く光るステンドグラス
その向かいで殊異彩を放つ濃赤色。
チェコ語表記しかなく、しかも子音にまみれたその名前を覚える事ができなかった円筒状の甘味。
シナモンをこれでもかとまぶした至高の一品。シナモン嫌いの卒倒するは想像に難くない。
高所からの見晴らしを表現する語彙は、とうに尽きている事だけ報告しておこうと思います。
文豪カフカの博物館。あまり詳しく書くのは本意ではないのですが、チェコという国は、全くもってこういうものに溢れた国であるな、というのが、筆者の感想としては適当であろうと思われるのです。この曖昧な内容に思うところがあるのであれば、一度プラハへ足を運んでみると良いかも知れません。
入場券はいくつかのデザインがある模様。筆者の場合、気品漂うカフカ少年。
マリオネットも有名らしく、博物館まであるほど。カレル橋でも他の国ではあまり見られないようなマリオネットのパフォーマンスがちらほらと。
このような感じで、2日と短くも個人的に充実したプラハ滞在となった訳で相成ります。
またの機会があれば、ピルスナーの街にも行ってみたいですね。
あるいはもう一度プラハを訪れ、モルダウの川沿いに腰掛けボーっとするのも良いかもしれません。
最後にプラハらしい写真と、癒し画像をば。