ストックホルムのすヽめ〜周辺の島々編〜
今さらの旅行記シリーズ再び。
今回は、ストックホルム周辺の島々についてです。前回のガムラスタンの、古き良きヨーロッパの街並みとは趣向を変えた、北欧最大の近代国家としての面が強いものになると思われます。あ、嘘かも。少し特殊な雰囲気を醸し出す場所もちらほら。
これはちょうどお日柄も良く、ストックホルム 滞在中で最も歩きやすい日のことです。
まずは島々へ向かいがてら、朝の散歩をします。あ、島々へは歩いても船でも渡れます。
朝のストックホルムを散歩すると、この街の『北欧のヴェネツィア』と称されるに足る所以を感じざるを得ません。この街の水の都としての姿は殊魅力的で、どんな街にも勝るとも劣らず我々を惹きつけることでしょう。まぁ、北欧のヴェネツィアと呼ばれてはいても、それぞれに違った美しさがあるわけです。それらを比べるは、それ自体が無粋極まりないことなのかもしれませんね。矛盾の筆者。
ホワイトバランスを変えるだけで同じ場所でも相当雰囲気が変わりますね。どちらが良いとは決めかねるのでどちらも載せておきます。どちらが現実か、という野暮な疑問は捨ててしまうのが賢明というものでしょう。筆者にとってはどちらも好きで、どちらも現実です。それでも気になる人は、そうですね、現地に行ってみてください。
ちなみにこれらは全て、滞在したホテルから、シェップスホルメン(Skeppsholmen?)島に向かう途上で撮った写真です。技術の良し悪しはあまり咎めないでくださると、筆者の心は保たれます。
まぶしい。
近代国家の水の都としての顔をずっと眺めていても良いのですが、そろそろシェップスホルメン島に着きます。
船。まぶしい写真に写ってた船です。
いざシェップスホルメン、このときの時刻はたしか09:20。この島の目玉である現代美術館(Moderna Museet)に向かうも開館は10:00。
この40分の間隙を埋めるため、筆者は白い息に身を縮めながら暖を探します。
そこで見つけたのは、丘を抉るようにしてできた窪み。その向こうには木製の扉が。地図にも本にもないし、とりたてて見る場所でもないと思って写真は撮りませんでした(失礼)。
しかし入ってみるとそこは、愚劣で無礼ここに極まれる筆者の想定を覆す世界が広がっていました。異世界、あまりに奇妙で面妖な、まさにワンダーランドと呼べるものがそこにはあります。
おもちゃの博物館といったところなのでしょうが、筆者の知るそれとは明らかに一線を画した存在です。ノスタルジックで、ロマンに溢れ、それでいて自由でした。筆者のなけなしの語彙ではこの感覚を表現できないので、写真で伝えます。
なにやら知った顔もちらほらと。
おもちゃによる道案内。
少女とおもちゃ…⁇
丘をそのままくり抜いて作られているので所々雨漏りが。
メカニック好きの少年心をくすぐるであろう展示。
人形の家。
割れた車の中には数多のミニカー。
パレード…⁇
全体像
レトロな売店…⁇
これは…
宇宙…⁇ガスマスク…⁇
あと、先ほど載せたパレード(仮称)、奇妙な音楽とともに動きます。
他にも謎の音楽とともに動く物体があったのですが、悲しいかな、動画は載せられないのです。だから画像だけ。
床、壁、天井、その全てが鏡で出来た、それも八角のためどこを見渡しても同じ像が映る狂気じみた一室。聞いたことあるような音楽をひたすら流し、それでいて人形は動かず立ち尽くしています。
正直、怖いです。
気を取り直して、
ワンダーランドを堪能したあとは博物館のカフェでケーキと紅茶をいただきました。
ベリーケーキ?なのかな、大変な美味です。
博物館から出ると、人が少し増えています。やはり時間ですかね。
現代美術館に向かう途上のグスタフ アドルフ教会…だったかな。
現代美術館前のアジア人?
到着
建物前のモニュメント。いかにも現代美術って感じですね。
謎のアジア人、グスタフアドルフを背景にストックホルム の地へ降り立つ、の図。
いや、早く入れよ。
入ります。
贅沢な空間の使い方ですね。そして明るく、とても筆者好みの雰囲気です。
出た、トイレ。ありがちなやつ(失礼)。ダダイズムのあれかな?講義で習ったような。
タワー。
鳥居が、さながら まぐわっているような様相(失礼)(下品)(罰当たり)
言わずとも知れたサルバドール ダリ。
や、破れた…紙…⁇
分かるよ、障子破るの楽しいもんな。でもそれは小学生のうちに卒業しような。
ピンクの布を風でヒラヒラしている作品。
これが現代美術…
もう何もいうまい。
これ、美術と呼べるかはいささか疑わしくないではないのですが、この文章自体はなんとなく胸を打つものがないではありませんでした。
『何一つ欠けていないのに、不完全』みたいな、そんな内容だった気がします。
退廃的な若者事情でも嘆く絵でしょうか。確か舞台はアメリカと書いてあったと記憶します。
何はともあれ、現代美術は筆者には少し難しいのです。感受性の乏しさ故。
現代美術館を後にし、次なるは筆者の真の目的を孕む島ユールゴーデン(Djurgården)。
真の目的とは何か?
そう、それは、これ
“ABBA the MUSEUM”
スウェーデンを代表する、世界でも有数の人気を誇ったユーロポップの代名詞、ABBAの博物館。
“Mamma Mia”や”Dancing Queen”など、聞いたことがないはずがない、と言っても過言ではない名曲の数々を生み出したアーティスト。
筆者感無量。
ジャケットや衣装、音源など、多くの展示が。
妙にリアルなABBAメンバー実物大?フィギュア。
パネル。以上!次。
今回の最後を飾るは、スウェーデンのシンボル?ヴァーサ号を収蔵する博物館(Vaasa Museet)。
ぶっちゃけてしまえば、最も期待していなかった場所。
いや、だって、船でしょ?しかも処女航海で沈んだ。
建物前には船が突っ込んで来たような形が。
わざわざこんなとこに建てなくても…
と、中に入ると、ナメくさっていた筆者を見下す巨大な影がそこに。
そう、これがヴァーサ号。大きさはなかなか伝わらないと思うのですが、この船を展示するために7フロア使っています。下に映る人と比べてみれば、その差は歴然。
後ろから見た図
カッコいい。こんな船なら海賊王でも目指せますね。
大きさよ伝われ。
北方博物館(Nordic Museet)
疲れていたのか、写真はとっていない模様。ごめん。
広すぎて全ては見きれません。行く際にはたっぷりと、時間と余力を残しておくと良いでしょう。
今回は写真盛りだくさんな記事になりました。
途中で飽きずに読んでくれた人には心からありがとう。
来月末には1年間の留学のためドイツに行くのでもっと生の情報を書けることと思います。読んでいただければ幸いです。また、これらの記事が皆さんのこれからの旅行にあたって少しでも参考になれば、それこそ筆者冥利につきるというものでしょう。
もしかしたらご飯とカフェとお菓子について書くかも。
ストックホルムのすヽめ 〜ガムラスタン編〜
書きたかったのですが、諸々の事情でなかなかタイミングが合わず書けなかった歯がゆさをここで滅します。
ストックホルムといっても、あまりこれといったイメージは浮かんでこないかもしれませんが、それはそれは魅力的な街です。その魅力を伝えるべく、その実僕の自己満足のため、ストックホルムの観光地についてつらつらと並べ立ててみようと思います。が、いっぱいあって書くのが大変なので、何回かに分けて書きます。
ストックホルム 、と一口に言っても、その街は大陸にあるだけでなく、大小さまざまな島も含んでいるため、周るにはそれなりの時間を要します。そのため地下鉄やバスやトラム、そして船が、我々を大いに助けてくれます。
それはそうとストックホルムの観光地は、中心部よりは、主に周辺の島々と、ガムラスタン(旧市街)に位置しています。
筆者の独断と偏見で選び、数日かけて訪れた場所の数々を、ここで紹介していきます。
今回は市庁舎少しとガムラスタンをメインで載せます。
まずは市庁舎。あまり華美ではないので一般ウケが良いかは存じあげませんが、水上に浮かぶ魅力的な赤レンガ建築です。
庭園?もあまり広くはありませんが、ちゃんとあります。まだ観光客もまばら。朝だからでしょうか。きっとそうですね。
市庁舎もそこそこに、ガムラスタンへ足を進めます。
向かう途上の景色もなかなかに見惚れます。寒さを忘れられはしませんけどね。
そしてたどり着くガムラスタン。狭っ。そう、これこそ旧市街といった感じですね!何度訪れてもワクワクします。
なんだったかな、名前、忘れた、、、
それでは聴いてください。
『忘れちまった悲しみに』
ドイツ教会、だったかな…
地図もガイドブックも持ち歩かないと稀にこうなります。
【旧市街あるある①】狭過ぎて建物の写真が撮りづらい。
中はというと、
内装はクリスマスよろしく、未だニコラウスの残り香が漂っていました。
Christmas Serviceの要綱のようなものが貼ってあったのですが、スウェーデン語、英語、ドイツ語表記でした。
北欧言語で固めない優しさに胸打たれました。
(フィンランドはそのほとんどが北欧言語だけなので胸穿たれました。)
ぶらぶらと気の赴くままに歩く先で見つけたジャポニズム。Kokeshi!
騎馬像。
下から見てみるとちょっとカッコいいですね。
そして、王宮です。
衛兵交代式も見たのですが、写真を撮り忘れてしまいました。気になる方は現地で見てください。12時過ぎに行われます。
下の写真は大聖堂。
ストックホルム 最古の由緒正しい教会です。。
譜面台なども置いてあるので、今でも使われているのでしょう。
ストックホルム 血浴の舞台と名高い大広場。
大人気のチョコレートドリンク店やカフェが点在しますが、常に満員なのでなかなかは入れません。
広場の四方のうち一方を丸ごと占めるは、アルフレッド=ノーベルを記念するノーベル博物館です。中にはカフェも併設されていますが、確かかなりリッチです。
フラッシュなしであれば撮影OKというのが、ヨーロッパの美術館や博物館の良いところ?ですね。と言っても見るのに夢中でそんなに撮らないんですけどね。
見上げると、レール上をノーベル賞歴代受賞者のパネルが動いています。
こういうの好きなんですよねみんな、知ってます。旧市街の狭い道は日本人の心をくすぐらずにはいません。
若干にミスマッチながらもセブンイレブンが。
フィンランドにもエストニアにも見当たらなかったのですが、スウェーデンではセブンイレブンのひしめくこと星の数です。
セブンイレブンで終わるというのも些か興が削がれるというものなので、ストックホルム 滞在中お世話になったクングスガタン(クングス通り?)のお店の雰囲気と、ホテルの写真を載せておきます。
トラックが闖入したは、気にせずに。
今回はこの辺で。
次はおそらくストックホルム 周辺の島々について書きます。
懺悔とNew Year’s Eve
ブログ書こう書こうと思いつつ、気がつけば1月12日。もう日本に帰ってきているばかりか、成人式まで終わってしまいました。そうです。筆者は遂に成人しました!おめでとう!ありがとう!!
成人式前後はまぁ旧友との再会やら何やら盛り上がりましたが、筆者にとって最も思い出となる出来事は、父親と2人でワインを飲んだことですね。父親が、僕の生まれたときに買った、僕の生年(1997)のワイン。20年もワインセラーで呑気に寝ていたので、2人で叩き起こしました。
と、そんなこと今はどうでも良いのです。
僕が今回書きたいのは、スウェーデンが首都ストックホルムのNew Year‘s Eve Fireworksについて。ストックホルムでは、年末には恒例で花火が打ち上げられます。
日本では夏の風物詩として知られる花火。ヨーロッパでは年末が出番なのです。夏は日が長いからでしょうか、それは分かりません。
当然のこと、それを聞いてみすみす寝て年を越せる筆者では ありません。あいにく31日の空は不機嫌でしたが、それでも筆者は負けじと傘も持たずに会場へと向かいました。
(そう、これは余談ですが、雨が降ってもヨーロッパの人は傘をささない、というイメージがあります。最も、僕の知るヴェネツィア、ドイツ、フィンランド、エストニア、スウェーデンに限ってではありますが、そう感じました。
なので僕は今回の旅行で傘は持って来ていませんでした。)
雨降りしきる中、会場に辿り着くと時間は23:30。いよいよ始まろうというところ、でもなく、人は多いけどまだ花火は上がらず。
震えて待つこと25分。
23:55。スウェーデン発のアーティストEUROPE の名曲 „Final Countdown“が流れ始めました。
いや、ホントにカッコ良いんです。
動画を載せられないのが惜しいです。
24:00。海に浮かぶ船が一斉に汽笛を鳴らし、その刹那に、記念すべき第1弾目が。
ひとしきり花火を打ち終えると、街中のスピーカーから聞こえるは、こちらもスウェーデン発の世界で最も成功したグループの1つABBAの „Happy New Year“。
この流れには大いに感動を覚えました。なんという愛国心。なんと粋な采配。筆舌に尽くしがたいとはまさにこのこと、といったところです。いや、この気持ちはどうにも伝えられないので、ぜひ、年末にはストックホルムへ訪れてみてください。冬の北欧の、あまりに長い夜も、旅行の間であれば楽しめるというものです。
ただ、ストックホルムへ訪れる際には、ABBAの曲をいくつかでも聴いて知っておきましょう。たぶん僕のような平成生まれ世代にはあまり馴染みがないでしょうが、ホントに素敵なアーティストなのでぜひ聴きましょう。
さて、ストックホルムの年末はこのように過ぎ去って行くと書いたところで、今回は以上です。少しばかり雑なのはご愛嬌。
たまに更新していくので、写真も載せるので、ぜひ、読んでね。あ、下の写真たちは31日に観光したドロットニングホルム宮殿です。
以上!
〜エストニア タリン旧市街〜
ヘルシンキから船に揺られること2時間あまり。往復30〜40€しかかからないのですから、そのチャンスをフイにする筆者ではありません。こんなときでもなければバルト三国が一角を担うエストニアに来られる機会なんてありませんからね。
乗り始めて30分で酔い、それからは極寒のサンデッキでひたすらに、揺られたカラダの不快をその白い煙に乗せて吐き出していたのは秘密。
降りたそこに広がるのは、15世紀かと見紛う街並みと、現代的な摩天楼。
中世の風を残しつつも先進的なIT技術大国としての顔も持つ国家エストニアの首都タリン。
その中世と現代が入り混じる様はとても異質で、見る者を大いに惹きつけます。
街中には可愛らしい汽車のような車が。
まだクリスマス感満載ですね。
ボクシングデー(12.26)には全て片付けてしまうフィンランドとは大違いです。ここにも文化の違いがあるんですね。
そういえば、旧市街のある店でご飯を買うとき、カード(AMEX)で払おうと思ったら、店員さんに
『ごめんなさい、AMEXは新しすぎて使えないのよ。まだここ15世紀だから…。』
って言われました。秀逸ですね。
ちなみにこれスープとミートパイなんですけど、安くておいしいので大いに満足できました。
アレクサンドルネフスキーがどうとかいう建物。
至る店で未だに過酷な労働を強いられている、悲しみの赤がそこにはありました、、、
休憩がてら、職人の中庭と呼ばれる場所でケーキを食べましたが、いやはや、本当においしいんです、これ。店内も上品で、王侯貴族にでもなったような気持ちになれます。店員さんたちも懇切丁寧に対応してくれます。
そしてお別れのとき
なんなら、一泊しても良かったのではないかと思ってしまうくらいには魅力的な場所です。
みなさんもヨーロッパに訪れることがあれば、そのついでにでも訪れてはと思います。必ずや期待以上の楽しさを得られることと思います。
まあ今回はたまたまエストニアに留学してる知り合いがいたからこそ、無計画な筆者でも1日を充実させることができました。
みなさんは事前の情報収集をしっかりとしてから来ましょうね。
Aitäh, Mika!
ヘルシンキからクリスマスを見る。信仰と寛容性?
フィンランドの首都ヘルシンキに来て、早くも5日目が過ぎ去ろうとしています。
今回の渡航の4割が終わろうとしている中、すでに一抹の物寂しさを感じないでもありません。いられることならいつまでもいたいのですが、そうもいきません。まあ、そのちょっとした物足らなさが、海外旅行の楽しさをより引き立てるというのが常であり醍醐味ですね。
さて、今回は、筆者に似合わず、ちょっと真面目なことを書いてみようと思います。
12月25日は、皆さんもよく知る通り、クリスマスです。ただ、我々日本人(ここでの『日本人』はキリスト教徒ではない日本人を指します。)の多くが考えるクリスマスは、ヨーロッパにおけるそれとは果てしなく大きな乖離があり、全くもって別の物と言い放ってさえ、過言ではないと思います。日本では、子どもにとっては、サンタクロースがプレゼントをくれる日。筆者も含めた学生にとっては、例えばケーキやターキーを並べた食卓を囲み、恋人や友だちと楽しむ日。子どもを持つ大人たちにとっては、自らがサンタクロースの代わりに子どもにプレゼントをあげる日。そのどれを取ってみても、宗教的な意味合いなどは、恐らく皆無と言えるでしょう。この日を迎えると、皆の口をついては出てくる言葉『メリークリスマス』。一体何がめでたくてこの言葉を言い合っているのか、筆者を含めた多くの日本人は考えたこともありません。ここで筆者が言いたいのは、日本人の一般的な、『単なる祭日的な意味合いでのクリスマス』を批判んするようなものではないことだけは、先に明示しておきます。日本においてのそれでさえ、多くの人が幸せを感じられる日なのですから、むしろ推奨されるべきものです。
本題に戻ります。筆者は、2015年までのクリスマスは日本で過ごし、2016年のクリスマスは水の都ヴェネツィアで、今年、2017年のクリスマスはここ、サンタクロース(聖人ニコラウス?)の故郷フィンランドで迎えました。そこで感じた1.『メリークリスマス』の魅力、2.現代のクリスマスとキリスト教文化について書こうと思います。
1. ヨーロッパでは、程度の差こそあれ、多くの人がキリスト教を信仰しています。この時期になると、友だちや家族だけでなく、レストランでお会計を済ませたときやお店でお買い物をしたときの店員と客の間でさえ、"Merry Christmas""You too"という会話がなされます。これが"Happy Holiday"でも"Frohe Weihnachten"でも"Buon Natale"でも"Hyvää joulua"でも"God jul"でも同じで、この、自然にお互いを祝い合い、意図せずとも成り立つ会話に、筆者は一種の美しさというか、尊さを感じました。
ただの感想じゃん。
2. 一口にキリスト教と言い切ってしまうのは間違いだとは思いますが、一旦その手のつけようもない大きな問題は置いておきましょう。キリスト教はやはり宗教なだけあって、宗派によっても様々でしょうが、しきたりや儀礼といったものが重要視されます。ただ、それら全てに絶対遵守では、現代社会に適応できないことは火を見るよりも明らかで、どうあっても時代に適した形態に、少しづつでも『変容』していきます。この『変容』が、『ヨーロッパにおけるキリスト教の影響力が弱まっている』ことを示すのか、『キリスト教への信仰が薄まっているのではなく、キリスト教文化それ自体が時代に適応して形を変える寛容性を持つ』ことを示すのか、はたまた全く別のことを、と、この数日で筆者はこのようなことについて大変気になるようになっちゃいました。
『変容』?と言われても、と思う方もいるかもしれませんが、安息日、が良い例だと思います。現代では、日曜日でも多くのお店やレストランは閉まりません。電車も止まりません。つまり、みんなしっかり働いているのです。
それはさておき、なぜ『変容』していると感じたか、を書きます。筆者はフィンランドへ来る前から、それはもうしっかりと現地について調べました。そこで知ったのですが、クリスマスマーケットは大体が12月初めに始まり、クリスマス前、つまり23日くらいに終わる、というのが基本なんですね。しかも、フィンランドでは12月24日(Christmas Eve)、12月25日(Christmas)、12月26日(Boxing Day)の計3日間『全ての観光施設、商業施設、博物館、美術館、レストラン、デパート、コンビニ、スーパー、トラムやバスや電車、果てはフィンエアーの航空機や一部のホテルに至るまで、全てが閉鎖される。』と、多くのブログやWebサイトに書いてありました。これはひとえに、クリスマスは仕事を休み、家族との団欒を楽しむという文化のためです。
これを知って恐れをなさない筆者ではありません。23日にスーパーで食料を買い貯めておこうとか、体積ばかりあるピーマンのように虚ろな頭を捻って、それはもう必死に策を講じたわけです。そんなに考えた割に結局めんどくさくなって買い物をサボってしまうところが、筆者の不徳の致すところ。そして迎えたクリスマスイブ。冷や汗とともに目覚め恐る恐る外へと出てみると、あれ、スーパーやってる。デパートも午前中だけは空いてる。HESBURGER(ローカルなファストフード店)もやってるし、トラムもバスも電車も走ってる。博物館やレストランは閉まってるけど25日には営業するところもしばしば。そう、つまるところ
何も、困ることがないのである。
閉まっている割合は確かに高いが、それでも我々観光客や現地人の生活に不自由するほどに社会の機能が停止しているわけではないのだ。お腹がすけばファストフードでもスーパーの焼きたてパンでも食べれば良い。観光したければ、せっかくのChristmas Serviceでも参加してくれば良い。遊びたければ、ヘルシンキ中央駅前のスケートリンクで滑ってくれば良い。
ただ、この嬉しい誤算とも呼べる代物を、単にラッキー、安心した、で済ませてしまうのは、いささか勿体無い。なぜ数年前の情報と、今回の筆者が実際に遭遇した状況はこんなにも違うのか。これを、数年前のブロガーがテキトウなことを書いたのだ、と一蹴することもできますが、そのブロガーがそんな嘘をつくメリットはないし、もはやただの風評被害です。それでも夏のフィンランド旅行の情報はたくさん出てくるのに、冬のフィンランド観光の情報が極端に少ないのは、『フィンランドの観光シーズンは基本、日が長く活動もしやすい夏であり、暗く寒く店も少ない冬ではない。』からだとも考えられます。某有名観光雑誌でも『夏の』○○は〜〜でとてもオススメです、などと書いてあるほどです。筆者は何度「じゃあ、冬はどうなの?ねえ?」と、思ったことか。
つまり、数年前の情報と筆者の実体験が食い違うのは、たぶん、ほんのここ数年、下手をすれば去年や今年あたりから、クリスマス前後の3日間も営業する施設が増えたから、なのではないでしょうか!?たぶんね。ちゃんと太字斜体にして下線も引いたよ!
え?店員さん?クリスマスだよ?仕事なんてしてないで家族のもとで過ごしなよ!と、疑問に思うのが自然な流れというものです。そう、やっと本題!
この、『クリスマス前後は家で過ごす』という長らく続いてきたであろうしきたりを、覆すこの事態。非キリスト教徒の人たちが代わりに働いている、というわけではない。
良いのか?良いのか?お?と心中で煽ってみる。汚物のような性格をした筆者なのであった。
そう。例はこれ以外にも。観光客も多く訪れる教会、クリスマスの風物詩、ミサにも変化があります。ミサについて詳しいわけではないので何とも言えないのですが、ヴェネツィアのサンマルコ大聖堂で参加したChristmas Serviceは12月24日23時ごろ始まり、12月25日01時ごろに終わる、2時間ほどのものでした。調べてみると大体が2時間程度を要するもののようです。しかし、ヘルシンキで最も代表的な会場ヘルシンキ大聖堂のfacebookのChristmas service要綱を見てみると、通常通りのChrismas Serviceとはまた別に、いつできたのかまでは調べていませんが、Christmas Service for Familyなるものがあります。このfor Familyとは、子どもを持つ家族を指すようで、どうやら一部の工程を短縮して、手短に済ませるもののようです。子どもにとって静寂の中ジッとしていなければならない2時間など、さながら地獄でありましょう。他にも、仕事柄なかなか時間を取れない人もいるでしょうし、様々な理由が考えられます。ただ、確実に言えるのは、『変容』している、ということです。それが冒頭でも述べたように、『キリスト教の影響力が弱まっている、信仰が薄くなっている』ことを示すのか、『キリスト教が、信仰の水準は維持しつつも時代に適応する寛容性と柔軟性を持つ』ことを示すのか、後者であれば、宗派によってどのような違いがあるのか、現段階の筆者では分かりません。最もそれが、考えるに値するほどの解答を持っているかどうかさえ、今の筆者には分かりません。その答えを知るにはそれなりの時間と根気が必要になるでしょうね。まあ、そこは気が向いたら調べてみたいですね。
え?終わり?こんなに溜めて?って思ったでしょ。
そう、終わり。いや、だって、僕、けっこう疲れちゃったし、、、。
勢いだけで書いてしまったので後で直すかも、、、。
ぱやお冬の旅 3日目 ヘルシンキ
今日は、朝の天気こそ清々しく、昨日までと同じくとても過ごしやすい日になると思われた。その刹那、ペチペチと、何がが筆者のとぼけた頬を叩く。そう、何を隠そう、雪である。それも、ペチペチと当たるほどに、強いのである。これまでの好天に調子づき、余裕を見せる筆者を嘲笑うかの如く、雪が、その礫が、上着からはみ出る頬を穿った。威力を増すばかりのその猛攻に耐えかね、向かう先の『Hakaniemi Kauppahalli』へ、気持ちの上では韃靼人の矢の如く、その実むしろいつもより重い足取りで体を運ぶ。
あまり悠長に写真を撮っている余裕がなかったことを、ここに弁明しておきますね。
中の様子はというと、
生鮮食品、野菜、パン、スープと、色々揃っており、まさに朝食にはうってつけの場所ですね。それはそうと“A perfect day for bananafish“を『バナナフィッシュにうってつけの日』って訳した人、誰だかは存じあげませんが、破格のセンスを持っていると思いません?こんな語感が良くて、無理がない言い方、他に例を見ません。
そんなことより、肝心の朝食。Kahvi(=コーヒー)(1.6€)と、アップルパイ(名前は…)と、クロワッサン。
クロワッサンはサクサクで、アップルパイはシナモンの香りも相まってよりおいしかったです。ヨーロッパは全般パンの種類が多くて本当にどれもおいしいから飽きませんね。
もう一度振り返ると、今日は雪、しかも吹雪ときた。紛れもなく“非“観光日和。ということで主にデパート巡りしかしていないため、今回は筆者の趣味である海外お菓子集めの経過報告になります。
フィンランドを代表するお菓子メーカー“Fazer“の主力ブランド、その名を“Geisha“。
日本から着想を得たというチョコレート。実際に食べてみると、
どこに日本の要素があるのか分からない。
まぁ、おいしいから、良いと思うんだ。何はともあれ。
冬の渡航2日目 ヘルシンキ
昨晩ヘルシンキに辿り着いて、今日は2日目。
今日から本格的に活動を始めるわけで、本来であれば、目的地を決めて地図の通り進行するのでしょうが、何というかね、いや、寒いからさ、地図持つの止めよって思って、方向音痴が一念発起して、あろうことか目的地も決めずに、気の赴くままに歩き始めました。
まず、朝散歩。まあ、暗いですね。さすが北欧。もう8時だぞ。と、陳腐な感想を抱きつつ、何処かしらへ向かって足を進める。そして見つける海。そう。そして丁度そのくらいに、空がほの明るくなり始める。
船を見つけ、行き先を見る。『Suomenlinna』。かつて要塞だった島。乗って、着いた、が、寒い、すごく、いや、ホントに。分かってはいたけど、島の博物館とかほとんど閉まってるしね?
本土に戻り、次なるは『ウスペンスキー教会』。やはり何を差し置いても空が青いことが、建物をいっそう映えさせますね。このロシア正教の教会。教会という割に、入り口付近以外は封鎖されていました。
元老院広場を見下ろすその白く巨大な威厳。『ヘルシンキ大聖堂』。注意書きにある「House of quiet and prayers」とは、よく言ったもので、内装は我々の思い描くような、およそ大聖堂らしいものでした。
クリスマスマーケットが賑わうのは夜ですが、この時間から営業するお店もあります。ここで登場フィンランド名物カレリアパイ。筆者はポテトと「Raindeer」を注文。聖人ニコラウスには申し訳ないが、致し方ない。欲望と好奇心に抗う術を、人は持たないのです。ポテトはなかなか。肝心のトナカイ肉の方は、えも言わせぬ不味さ。思わず心中で叫ぶ。「トナカイ!まz(ここでニコラウスに殴られる)」。
ぱやお (享年20歳)
数分後に、預言者のごとく復活を果たした筆者は、アテネウム美術館へ。
神話カレワラからでも分かるように、フィンランドの文化が、我々の想像する範疇にあるヨーロッパのそれとは傾向を大きく異にするという事実に疑う余地はありません。
そして『国立現代美術館キアズマ』。モダンアートは、感受性に乏しい筆者にとっては難しすぎるようで、見終わってからしばらく休憩が必要でした。そして、さすがモダンアートと言うべきなのでしょうか、建物の構造が複雑で、何度か迷子になりました。
ここはやはり北欧らしさと言えましょう、両美術館ともに、チケットが独特!
アテネウムのチケットはシールタイプ。手の甲などに貼るとのこと。
キアズマのチケットはタグのような形。これを衣服の見える場所につけるとのこと。
時は流れ早くも夜。お待ちかねのクリスマスマーケットへ。今日が最終日なので本当にギリギリでした。ここで筆者は謎の執着ぶりを発揮し、再びトナカイ肉へ挑む事に。しかも今回は、トナカイソーセージ(6€)。まずは写真。
こう言ってしまっては何ですが、地獄のような見た目をしていますね。特にソース。人の食す色ではありません。これが噂のベリーソースでしょうか。さてお味はと言うと、ソーセージとベリーソースは存外おいしかったです。赤い物体は、、、まあ良いでしょう。
そしてデザートにGLÖGIとRAW CAKE。これがなかなかおいしい。フィンランドのクリスマスを存分に味わえるのでオススメ。
このような形で1日が経ちました。あれ、意外と充実したのでは??とお茶目にも思ってしまった筆者に、読者が愛くるしさ、もとい苦しさを感じ始めたところで、今回の記事は終わりになります。
カレリアパイ: なんか、フィンランドのパイ
GLÖGI: ベリーのようなものでできた飲み物。ホットで飲む。
RAW CAKE: 冷た目の、ケーキ。やっぱりベリーだと思う。